親友ときどき上司~熱風注意報~


 再びテーブルの椅子に腰を下ろすと、新聞を畳んだ荘司が瑞希の食べた食器を持って立ち上がる。

 それをカウンターに置くと、コーヒーとミルクをカップに注いで瑞希の前に置いてくれた。

 キッチンに入って行く荘司を見て、慌てて瑞希が駆け寄る。

「食器、私が洗う!」

 エプロンに手を伸ばした荘司の腕を押さえて言うと、片眉を上げた荘司に見下ろされた。

「コーヒー飲まないの?せっかく煎れたのに。」

「えっ、あっ。飲む!」

 慌てて荘司から離れ、今度はカップに手を伸ばす。

 それを見て、可笑しそうに笑って食器を洗いだしたのは荘司だった。


 むうっ―――
 何で、私には何もさせてくれないのよ。

 料理は荘司には確実に負けているけど、せめて後片付けくらいしたい。

 これでは、本当に子供だ。


 瑞希は不機嫌を隠すことなく、荘司を睨む。

 それを見た荘司は、優しく笑いかけ肩を竦めただけだった。

 
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