親友ときどき上司~熱風注意報~
この空気が好きだ。
瑞希は自分の机に座り、既に積み上げられた書類の山を見た。
今日の午後のミーティングの書類は、デザイン画とそのデザインにかかるコストの最終打診案。
我が儘なデザイナーを説き伏せ、会社とデザイナーの双方が納得する物でなければならない。
そして、なにより購買意欲を掻き立てる物ではならないのだから。
決定を出す瑞希の肩にも気合いが入る。
勿論、瑞希がOKしても、部長である荘司がNOと言えば、積み上げた努力はゼロになる。
通過したデザインはデザイナー達の手で試作されるが、その経過途中で断念される事も珍しくない。
コスト、製作面、出来映えをクリアした作品が発表会に出され、その後、初めて商品として大量製作の発注がされる。