親友ときどき上司~熱風注意報~


 意味が分からない。

 てんで分からない。

 チラチラ視線を受け、荘司に爆笑され、瑞希は頭を抱えた。



 不審に思いながらも書類に目を通しているうちに、どうでも良くなった。

 午後イチのミーティング前に書類に一通り目を通し終えた時は、昼休みを少しだけ過ぎていた。

 いつの間にか没頭していたようで、周りを見ると人も疎らだ。

 デザイン部門では昼休みに仕事をする事が禁止されている。

 荘司の命令だ。

『出来るヤツは出来る。出来ないヤツは時間を割こうが出来ない』

 そう言った荘司の言葉は一理ある。
 特にデザイン部門に置いては。

 デザイナー達は出来ない時は出来ないのだ。
 そして、出来る時は数分で出来る。

 荘司の厳しい命令は、その裏で根詰めがちになりやすい部下達への思いやりだった。



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