親友ときどき上司~熱風注意報~
瑞希の机の隅には、いつの間にか弁当が置かれていた。
社外に出る事も多い荘司だが、昼休みの時間帯に出ているのは珍しかった。
何かあったのだろうか?と、気にはなったが、まずはせっかく作ってくれた弁当を食べる事にする。
「今日は、1人?」
自分の席で弁当を広げる瑞希に、同じ様に机で食事をしていた統括リーダーの塚野耕平が声を掛けた。
「うん、塚野君も?」
「俺は、コンビニ弁当だけどな。」
塚野は瑞希と同期だ。
明るくハキハキと物怖じしない彼は、デザイナー側の要望を叶える為に、どうしても会社側に立つ瑞希とはぶつかっている。
しかし、彼のような存在があるからこそ、デザイナー達は作品を生み出す努力をするのだと瑞希は思っていた。
会社側の要望に従うだけでは、良い物は作れないのだから―――