親友ときどき上司~熱風注意報~
3時間程で、ミーティングは終了した。
今回のミーティングは最終案なので、既に何度も調整し練り上げてきている。ほぼ予算案通りで決定されるものが多い。
これが初期のミーティングならば、3時間どころか就業時間を過ぎる事も珍しくなかった。
最後の最後まで粘っていた塚野の予算案は、会社側としては厳しいものだったが、持ち込まれた試作品の出来は素晴らしいものだった。
渋る荘司を、瑞希が説得し、予算通過の決定を取り付ける事が出来た時は、塚野は飛び上がらんばかりに喜んでいた。
最も、荘司の渋る態度はあくまで建て前上な事を瑞希は知っていたので、説得も簡単だったのだが。
どんなに作品が良くても、手放しで褒め称えていてはいけない立場にいるのが荘司だ。
企業である以上は、デザイナー側の我が儘を喜んで受け入れていてはいけない。
その為に荘司は甘い態度は一切取らなかった。
代わりに瑞希がいるのだ。
その都度、荘司の考えを読み取り、会社側の説得に回るかデザイナー側の説得に回るか自分の行動を選択する。