親友ときどき上司~熱風注意報~
中間管理職って事だけど。
それでも瑞希にとって今のポジションはやりがいのある仕事だ。
サンプル類を片付けた長テーブルの上に、紙コップに入れられたコーヒーが配られる。
ミーティング中は大量のサンプル類を万が一汚すといけないので飲食禁止。終了と同時に皆でコーヒーを飲むのが慣例になっている。
「桜田、口添えありがとな。鬼部長に却下されると思ってて泣きそうだったよー。」
瑞希に話し掛ける塚野は、緊張の糸が切れたのか緩みきった笑顔だった。
「今回は援護したけど次は敵に回るかもね。」
「イヤイヤ、次も通したくなる物を持ってくるよ。鬼部長と戦ってくれ。」
「鬼とは、俺の事か?塚野。」
瑞希と塚野の会話に、隣にいた荘司が片眉を上げて割って入る。
「鬼と言ったら鴨井部長しかいないですよ。なぁ、桜田。」
全く物怖じしない塚野に瑞希は苦笑する。
「調子に乗るなよ。今回は作品が良かったからだ。案もしっかり努力した上での改善が見られたし、あのクオリティであの予算なら、俺個人としては完璧だ。」
コーヒーを飲みながら、あっさり言った荘司に、塚野の切れ長の瞳が見開かれる。