親友ときどき上司~熱風注意報~
見る見る紅潮していく塚野の顔に、瑞希は笑顔を零す。
「やったね。塚野君。鬼部長の完敗宣言だ。」
「今回は、だ。調子に乗って無理難題持って来たら、叩き潰すからな。」
琥珀色の瞳を細めて意地悪に笑う荘司に、塚野は言葉も出ないのか、首を激しく上下に動かし頷いている。
「が、頑張りますっ!」
感極まった塚野が叫ぶと同時に椅子から立ち上がり、余りの勢いに椅子が後方に倒れる。
ついでに手に持っていた紙コップのコーヒーが瑞希目掛けて跳ね上がった。
「っきゃあ!」
咄嗟の事に驚いたが中身のコーヒーは既に冷め切っていたので熱くはなかった。
「瑞希っ!」
「うわっ!桜田、ごめんっ!」
荘司と塚野が同時に焦る。
「大丈夫。熱くないよ。」
火傷を心配した2人に笑いかけるが、胸元にかかったコーヒーは白いブラウスを茶色に染めていた。
「桜田!ごめん!ブラウス弁償する。」
「塚野君は、落ち着こう。誉められる度にコーヒーかぶるのは嫌だから。」
「今度から、塚野は誉めない事にしよう。」
瑞希と荘司の会話に、塚野の顔が青くなる。