親友ときどき上司~熱風注意報~
そっと荘司のジャケットの前を開け、自分の胸元を見下ろして溜息を吐いた。
そのまま、鏡に視線を移すと、荘司の大き過ぎるジャケットを着た自分が子供のように見える。
「肩凝り改善と思って、新作見よう。誰かに見せる訳じゃないし…」
肩を竦めて割り切り、だいぶ赤味の引いた顔に安堵する。
管理部へ行こうと向きを変えた瑞希は、視界の端に見慣れない物を見た気がして、もう一度鏡を振り返った。
「これっ!…な、なんでっ?」
朝から皆の視線と、先程の会議室での会話の謎が一気に解け、再び瑞希の顔は真っ赤になった。
今度は心臓もドキドキと早鐘のように鳴っている。
瑞希の耳下の首に、くっきりと残る赤い内出血の痕。
うっすら歯形のようなものまで残るソレは―――
明らかにキスマークだ。
しかも、強烈に濃いめのキスマークだ。
「荘司ぃー。…確かにハイネックでも隠れないよぉ…。」
犯人が飄々と言っていた言葉に納得しながら、瑞希は荘司引きで買い込む躊躇いを綺麗さっぱり捨てた。