親友ときどき上司~熱風注意報~
早足で廊下を歩く瑞希は、荘司に借りたジャケットの前をしっかり握りしめてトイレに入る。
女子トイレの洗面台の前で大きな溜息を吐くと、目の前の鏡には真っ赤な顔の自分が映っていた。
「…谷間とか…やめてよ。」
呟きながらも、塚野の言葉を思い出し、新作の下着を見てみようかと考える自分に苦笑した。
塚野はプロだ。その塚野が事故とは言え瑞希の胸を見て、他の物が良いと言うなら正しい気もする。
事実、瑞希は万年肩凝りなのだから。
新作の下着は瑞希も見ている。自分が携わっているのだから当たり前だが、実際にそれを自分が着けるとなると結構な勇気がいるのも事実だった。
瑞希が愛用している可愛らしい華奢なブラジャーよりホールド力を強化したものは、胸を強調し自己主張を放つセクシーなデザインのものが多い。
白やピンクといった淡い色ばかりを着る瑞希には、赤や黒で妖艶なデザインのものは手に取る勇気が出なかった。
自分に着こなせる自信もない―――