親友ときどき上司~熱風注意報~


 デザイン部門のあるフロアに戻ると、荘司はいなかった。

 一言文句をいってやろうと思っていた瑞希は、不機嫌に眉を寄せる。

 スタンドカラーのブラウスを着てみたは良いが、肝心のキスマークは全く隠れなかったのだ。

 それどころか、手持ちのコンシーラーですら塗りつぶせなかった。何となく薄くなった程度だ。

 犯人不在に不機嫌なまま席に着いた瑞希に、

「部長なら、あのまま店舗視察行ったよ。完全に逃げた感じで。」

と塚野が言った。


「そう。」

 何と返事するべきか分からない瑞希は、不機嫌な顔のままそう言っただけだった。

「まぁ、そう怒るなって。あのクールな部長がわざわざ所有権を提示したんだから、何か理由があるんだろ。」

 笑う塚野の言葉に瑞希はドキリとする。

 思い当たるのは、隼人との事だけだ。




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