親友ときどき上司~熱風注意報~
親友and美女~誘惑と事実~


 最終予算案のミーティングが済んだ今日は皆、定時で仕事を切り上げる。

 土日を挟み週明けからは発表へ向けて本格的に試作品の製作が待っているが、とりあえず一段落だ。

 瑞希も帰る支度を整えると会社を出る。

 結局、ミーティング後から荘司の姿を見掛ける事はなかった。

 大量の着替えを抱え、タクシーに乗ると荘司のマンションへ行き先を伝える。

 走り出した車窓から街並みを眺めつつ、荘司に先に帰る旨のメールを送信した。

 直ぐに返信が届き、携帯を確認すると、

『ちゃんと、夕飯を食べる事。冷蔵庫にケーキの残りもあるから。待たなくて良いから先に寝ていて。』

と、やはり母親のような内容だった。

 クスリと笑った瑞希に、運転手がミラー越しに怪訝な顔をしたような気がして、慌てて口元を引き結んだ。



 荘司のマンションが近付くにつれ、ソワソワと落ち着かなくなる。

 本当に良いのだろうか。

 こんなにも何もかも甘えてしまって―――





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