tearless【連載中】
『璃琥待ってんでしょ?』

「あ、はい…」

『ごめんね?呼び止めて』

「いぇ…」



“じゃーね”手をヒラヒラさせながら階段を下りていく先輩を横目に、私も璃琥が居る場所に向かった。



『遅せーよ』



私を見るなり、飛んできた言葉。

眉間に皺を寄せドカッと階段に座る璃琥は、まだ不機嫌のままで恐る恐る隣に腰を下ろした私は“ごめん”とりあえず謝った。



『何分待たせんだよ…』

「だって、そこで雅貴先輩に逢ったから…」

『知ってる。聞こえてた』

「そっか…」



ひと息つくと、階段を見つめる私。



『で、雅貴に可愛いって言われて顔赤くした訳だ?』

「えっ?」



頬に両手を当てると、その手をグイッと掴まれ“赤くしたんだ?”そう言って口角を上げた。

でも、決して目は笑って無い…。



「り…く…?」



意味も無く名前を呼ぶ私に“何?”と表情を変える事はない。



『怒って…る?』



顔を見れば分かるけど、それ以外に言葉が見つからなくて、とにかく何か言わなきゃと思ったんだ。


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