tearless【連載中】
『…怒ってねーよ?』



不適な笑みを浮かべ、ジリジリと私に近付く璃琥に思わず息を呑む。



「ど―した…の?」

『どーもしねーから』



グンッと近付いた顔に仰け反った私はそのまま床へと倒れ込んだ。

もちろん璃琥は上に跨り、私を見下ろしている。



「やっぱ怒ってる!!」

『そうさせたお前が悪い』

「…妬いてんだ?」

『誰が妬くかよ?』



フッと笑うと重なる唇。

あれから何度こうして唇を重ねたかな?

付き合ってる訳じゃなのに、こうする事が当たり前になってるね?



『ねぇ、璃琥?』

「あ?」

『今の関係で、辛かったりしない?』

「別に…」



そう呟くと、またキスをする。

背中に伝わるひんやりとしたタイルは、この暑い空間に居る私を少しだけ心地良くした。



『葵は辛くねーの?』



体を起こすと、私の横に寝そべる璃琥。

並んでここに横になるのも、いつもの事。



「私は、璃琥が居ればそれでいい」

『祐樹って奴は?』



“俺見て思い出さねーの?”染みで薄汚れた天井を見据えたまま言葉を吐く。


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