tearless【連載中】
『チッ。面倒くせーのが来たな…』



金色の髪を掻きあげた次の瞬間、目つきが鋭くなったのが分かった。

両手をポケットに突っ込み、ただ先生を睨み付ける璃琥。

その瞳は、初めてあったあの日を思わせる程に冷たいモノだった。



『…最近落ち着いてたと思ってたが、俺の勘違いか?』



先生も負けじと睨み返すが、璃琥は微動だにしない。

寧ろ、より一層目つきが鋭くなった。



『俺は俺だから。葵、行くぞ』



スッと視線を先生から外すと、再び歩きだす。

ピリピリとした空気は未だあるものの、大事にならなくて良かった、と、ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間。



『お前は教室に戻れ』



冷たく言い放った先生に肩をグイッと掴まれ、校舎内へと引き戻されてしまった。



「ちょっ、」

『アイツには関わるな。新条は人間の屑だ』



そう、恰も当然の様に吐き捨てたのだ。

仮にも学校の教師が、そんな事を言っていいのだろうか?



『早く戻れ』



私の肩をグイグイと押す先生に“璃琥は屑なんかじゃ無いから…”そう言って睨み付けたんだ。


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