tearless【連載中】
―ドクン...ドクン...

この鼓動の高鳴りは、階段を駆け下りたせいだけじゃない。

あの瞳がアイツとリンクしてるんだ。



「…何で…いつまでもこんな思いしなきゃならないの…」



忘れたいのに。

忘れなきゃいけないのに…。



こんな自分に腹が立つ。



嬉しい時は笑って、

悲しい時は泣く。



こんな当たり前の事すら出来ないなんて…。



もう殆ど生徒の居ない下駄箱の前に立ち尽くし、そんな事を考えていた。

もうまもなくチャイムがなり、HRが始まるだろう。

職員室のドアがガラガラとうるさく鳴り響いているから…。



「…サボっちゃおうかな…」



風邪で2日休んでたから、都合がいい。

理由を考えなくて済むし。



10分位前に閉まった靴をまた取り出すと、上履きを押し込めた。

ストンと靴をコンクリートに落とし足を通すと、チャイムが鳴りまだ下駄箱付近に居た生徒達が一斉に教室に向かって走り出す。



“やべー”

“急げよ”

“此処まで来て遅刻は勘弁”



思い思いの言葉を口にしながら私の横をすり抜けていった。


 
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