tearless【連載中】
そんな中、私だけは反対方向へと足を進め、ちょうどガラス扉を出た時、
―ドンッ
下駄箱に向かって走り込んできた人と肩がぶつかった。
余りの勢いに体がよろめき“ヤバい”そう思った私は目をギュッと瞑る。
『…っと、ごめん。大丈夫?』
背中に来るはずの衝撃の代わりに、男の人の優しい声が耳に入り込む。
ゆっくり目を開けると、背中と壁の間に腕を滑り込ませホッとした表情を浮かべる雅貴先輩が居た。
『あれ…、葵ちゃん…だよね?』
私の体を庇っていた腕を引き抜きながら、驚いた表情で私に問いかける雅貴先輩は、うっすらと額に汗を滲ませている。
きっと急いでたんだろう。
まぁ、だからぶつかった訳だけど。
「はい…。こないだはありがとうございました」
何故名前を知ってるのかは敢えて聞かなかった。
璃琥の事を平気で叩いちゃう仲だもん。
知ってても不思議じゃない。
『風邪、治ったんだ。良かったね』
“ちなみにあの自転車、俺のだから”と、今日の曇り空とは不似合いの爽やかな笑顔を私に向ける。
―ドンッ
下駄箱に向かって走り込んできた人と肩がぶつかった。
余りの勢いに体がよろめき“ヤバい”そう思った私は目をギュッと瞑る。
『…っと、ごめん。大丈夫?』
背中に来るはずの衝撃の代わりに、男の人の優しい声が耳に入り込む。
ゆっくり目を開けると、背中と壁の間に腕を滑り込ませホッとした表情を浮かべる雅貴先輩が居た。
『あれ…、葵ちゃん…だよね?』
私の体を庇っていた腕を引き抜きながら、驚いた表情で私に問いかける雅貴先輩は、うっすらと額に汗を滲ませている。
きっと急いでたんだろう。
まぁ、だからぶつかった訳だけど。
「はい…。こないだはありがとうございました」
何故名前を知ってるのかは敢えて聞かなかった。
璃琥の事を平気で叩いちゃう仲だもん。
知ってても不思議じゃない。
『風邪、治ったんだ。良かったね』
“ちなみにあの自転車、俺のだから”と、今日の曇り空とは不似合いの爽やかな笑顔を私に向ける。