誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~


その日、彩は高校時代の女友達と久々に会う約束をしていた。



が、定時10分前に受けた電話が長引き、予想外の残業に。



キタかっ…



普段なら、めったに残業なんてないのに、そういうときに狙いを定めてクレーム電が入ってくるというのは…



「それはね…昔、上司との不倫の果てに捨てられた女の人が、このオフィスの窓から投身自殺をしてね…

その怨念が今だに成仏できずに漂ってて、女の子の楽しい予定をことごとく邪魔するらしいよ~」



初めて日村さんにそう聞いたときは思わず笑ってしまったが、こう偶然が重なるとシャレにならない。





彩は背後の霊気を振り払うべく通路に飛び出し、その勢いのままエレベーターのボタンを押した。



いったん締まりかけたドアが再び開く。



おしっ!



あんたはここまでだからねっ!




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