誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
一方、本社に帰った敬はと言えば、まるで水を得た魚のように、隙を見せない仕事ぶり。
彩と二人っきりのときに見せたタラシっぷりはおくびにも出さない。
いや、そりゃそうでしょ。
そうでなくっちゃ…困るんだけど…
やっぱり、あたしなんか、暇つぶしにからかわれただけなんだ…
だぁー、早く帰りたい。
いや、帰っても、もう今までのように、お気楽な一パート社員ではいられないんだと思うと、どうしてあのとき思い切って断れなかったのか、つくづく自分の気弱さに嫌気がさす。
はぁ~~~。
ため息は止まらない。