笑わない女と俺
案外そんな微妙な変化を観察しながらこいつと話すのは楽しかったりして。

まあ、なんていうか宇宙人と交信をしているような、そんな気分にはなるが。

「山月、その髪、前見えないし、目に毛は入るだろうし、邪魔じゃない?」

俺は女じゃないが昔から目に毛が入るのは大嫌いだ。

そんな俺からすると
この呪いの人形みたいな髪はすぐにでも切りたくて仕方ない。

「目、見られるの恥ずかしいから……」

恥ずかしい?。

今こいつ恥ずかしいと言ったか?。

またまたこいつの素性からは考えられない台詞だ。

「試しに、髪上げてみてくれない」

そんなこいつの新しい一面が見たくてそんなお願いをしてみる。

「やだ……」

単純だけど、絶対的な拒絶。

まあ、そう言われるとは思ったけどさ。

「お、デパート着いたぞ」

「……」

デパートで画用紙や、画材などを買う。

買い物の中で意外だったのはエミが率先して買い出しのメモにある品物を集めていた事。
そして、レジで「領収書下さい」と普通に言えていた事だった。
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