ラビリンス
プリンセス
桂小五郎を求めて私は訪ね歩いた。すると捜すまでもなく、桂小五郎から私の元へやってきた。
王子様の手紙とガラスの靴を渡すと桂小五郎は苦笑いした。
予想と違い、彼は私にあまり語らず、こう言った。
「たとえ任務でも、王子様には悪い事をしたな。俺がお城に行く前にお城の前でウロウロしてた子がいた。その子はドレスがなくて入れて貰えなかった。ドレスがなくても美しい子でね、その子の顔を真似て俺は王子様に近づいた。この靴は借り物だけど、その時着ていたドレスは、その子にあげてくれ」
桂小五郎から渡されたのは、綺麗なドレスだった。
「その子の居る場所は、かぐや姫が知っているから、ついでにガラスの靴もかぐや姫に返して貰えるかい」
私はドレスとガラスの靴を抱えて、竹取の翁の家へ向かった。
いつの間にか日が暮れ、月が出てきた。
今日は満月、月の光は、私の足元を照らしてくれた。
月明かりに美しい女性が浮かび上がった。しかし、その美しさは恐怖さえ与えた。この人は…
「なぜ、怯える
お主には私の正体が見えるのであろう。
確かに私は人外だ、しかし、怯えずとも取って喰ったりせぬわ。今から月より使者が来る、お主の用件は存じておる。そのガラスの靴は、返す必要はない。その娘にドレスと共に渡してたもれ。さすれば、万事上手くいくだろう…。さあ、迎えが来た、私はかえるぞえ…」
閃光が走る。
目が眩み、私は気を失った…。
目が覚めると、
そこはお城の前だった。
門番。大勢の貴族達や煌びやかなドレスを着た娘達。
その中に、みすぼらしい服を着て立ちすくんでいる女の子がいた。
私はその女の子に歩み寄った。
「初めまして、シンデレラ姫。」
< 13 / 19 >

この作品をシェア

pagetop