夏の日差しと狼のいろ。


 「…?…?」

 ツキたちはあのカナリアの子の
 ところへ向かっていたが
 ツキは一人、


 首をかしげていた。




 ウルーの、機嫌が
 さらに悪くなっている。


 さっきから
 一言も話してくれないし
 目もあわせてくれない。



 アルはアルで
 理由がわかっているのか
 呆れたような顔をしていた。



 「ウ…ウルー…」


 ツキは恐る恐る声をかけるが
 ウルーは返事をしない。




 そこでツキは
 ウルーの横に駆けていって
 腕に抱き着いた。



 「ウルーってば!」



 そこでようやく
 こっちを見たウルーは
 とても不機嫌そうに
 こっちを見た。



 「どうした、の?」



 若干口ごもりながら
 ツキはウルーに尋ねる。



 するとウルーが低い声で
 ボソリと言った。




 「あの雪狼…」





 イクアのことだ。

 ウルーも雪狼ということに
 気がついていた。


 そして、
 その言葉は敵意たっぷりだった。


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