夏の日差しと狼のいろ。


 「……あのっ…?」

 ツキは今にも唸りだしそうなほど
 機嫌の悪いウルーに
 首を傾げる。



 「ウルー?どうしたの??」


 再び質問すると
 ウルーは鋭く言った。



 「面白くない
 ツキ、あの雪狼のところへ
 行くな」


 「……む」


 いつも穏やかなウルーが
 怒った口調でそう言った。



 急にそんなことを言われて
 ツキは少しムッとする。


 イクアくんは普通なのに。



 何か言い返そうとした時、
 アルがすっと横にきた。


 「ツキさんもウルー様も
  お互い鈍感なんですね」


 さらに、嘲笑すると
 呆れたような目をして
 意地悪げに言う。


 「そんなことしてたら
  ウルー様とっちゃいますよ」



 満足げに笑い、
 アルはたたたっと駆けていった。


 ウルーもムスっとしたまま
 歩きだし、
 ツキだけがぽかんとする。





 (…鈍感、って?)


 ツキはきょとんとしながら
 二人の後を追った。

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