夏の日差しと狼のいろ。


 メキメキと音をたて
 双子達を持ち上げた。


 きらきらと青白く光るツキの
 尻尾が揺れ、

 双子達は呻いた。


 いっそ強く首を絞め上げられ
 もはやテイクオーバーなど
 意味をなしていない。



 自分が強いのだと
 ツキは実感した。


 苦しそうな双子を見ても
 手の力を緩めようとは
 思わなかった。


 …何故だろう。



 ツキはもどかしくなって
 青白い髪を振るが

 答えは見つからない。


 やっぱり自分は人間じゃないから。



 『…私の友達になんてことするの』


 ツキは少し力を緩め
 質問に答えさせようと

 双子に凛と響く声で
 呼びかけた。



 『…狼…なんて…ッ』



 危機状況におかれてもなお
 二人は憎しみを込めた瞳で

 荒い息を吐きながら
 ツキを睨みつける。



 『どうして?』


 ツキは躊躇うことなく尋ねた。
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