夏の日差しと狼のいろ。

ーー昼過ぎ。


ツキ達は小屋の前に、
冬着で集まっていた。


今は少し暑いが、
すぐに丁度よくなるだろう。



アルは赤い布地に、
裾に白いファーが
施されている、首の辺りに
大きなリボンのついた

ローブを着ている。





相変わらず貴族みたいに。




ウルーは黒っぽいローブを
すっぽり着ていて、
いつもより銀色の髪が目立つ。




ツキはいつも着ている服に
あわせた感じのものを来た。



「じゃあ、私達いくね。
ちゃんと赤い瞳の狼、調べておくから」



ツキがちょっと寂しそうに
微笑むと

ラルズがわっと飛びついた。




「はじめ、ケガさせちゃって
ほんとにごめんねぇ…?

でもボク、今はツキ姉
だぁーいすきだよぉ」




頭の上の耳を揺らしながら
すりすりとツキに擦り寄り

ラルズは元気よく笑う。




しばらくすると
ラスクもツキに近寄り、

ゴソゴソと
ポケットから何かを出した。




「ほら、コレ」


それは小さな時計だった。


チェーンがついていて、
首にかけられるようになっている。






「なぁに、これ?」


ツキが不思議そうに
それを受け取ると


双子達は新たに
ポケットから同じような時計を


取り出した。



「コレは不思議な時計なんだ」



得意げに
ラスクが言い、

時計をかかげた。



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