夏の日差しと狼のいろ。

川だ。



完全に凍りついた川が
光りを浴びてきらきらと

光っている。



「凍るほど寒いかな?」


ツキは不思議そうに
辺りの気温をさぐるが

そんなに温度は変わっていない。



ツキとウルーが
首を傾げていると

アルが尻尾を振って
得意げに言った。


『そんなこと情報屋の闇猫族なら
誰でもしってますよ』


ふふんと笑い、アルは
威張るが

相変わらずちまっとしていて
可愛い。

猫のままだし…




『森から一歩でたら
わかりますよ?

あ、ツキさんはおバカさんだから
わかんないかもですね?』



意地悪っぽく笑い
べぇっと舌を出す。

そしてツキの腕から
ぴょいっと飛び降りた。


「もう!それくらいわかるよ!!」


ツキは言い返すと
森の外に踏み出しー…




「きゃっ!?」



すぐに戻った。


「ど、どうしたんだ?」


ウルーがびっくりして
ツキと外を交互に見る。


アルだけがふふんと笑い、
それからちょっと嫌そうな
目に変わった。



『私、嫌いなんですけどね』



そしてアルは
森の外に出た。


ただ一人、まだ
状況がわかっていないウルーだけが


どぎまぎしてそれを見守る。





『うーっ…寒い!』


アルは真っ白な毛と尻尾を
ふわっと逆立てた。





そう、寒いのだ。


< 273 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop