夏の日差しと狼のいろ。



 ドンッ!!


何かが蜘蛛を切り裂いた。ツキはそっと目を開けた。

どこか知っている気配…


そこに居たのは―

「ウルー…!!」


あの頃とまったく変わりのないウルーがいた。


手の爪がにょ、っと狼のように長くなっていた。

もちろん恐怖はない。


ウルーはツキのほうを見た。

「…大丈夫か」

そう言って声をかけてきた。


ツキは嬉しくて「ウルー!私よ、わかる?ツキだよ?」

そう言ってウルーにとびついた。


ウルーはびっくりして「ツキ…!」と言ってツキを見た。


ツキは嬉しくてこくんこくんと頷いた。

「ウルー…ウルー…!よかった、会えた、また会えたのね!」


泣きじゃくるツキをウルーはいとおしそうに抱きしめてくれた。

嬉しくて涙がとまらなかった。
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