夏の日差しと狼のいろ。


あっという間にアルは放っていかれ

ツキさんの姿は見えなくなった。


アルはひどく、不安な気持ちを
抑えられずに立ちすくんでいた。


アルは自分の体がかたかた
震え出すのを感じた。



今、自分はひとり。

ひとりぼっち。

置いていかれたみたいな気分。




アルは一歩ずつ前に踏み出した。


震える体をおさえる。



ツキさんを助けないと。





アルが町に完全に入ったころ
巨大な銀色の狼が姿を現した。


一瞬、ウルー様だと思ったが
すぐに違うとわかった。


刺々しい雰囲気に、
何より嫌な感じがした。



あれはサンドルー…


サンドル。黒い狼。


1番情報が入る闇猫族では
伝統かのように語り継がれていた。



"黒い吸血狼。
野心が高く、狂暴であるがー…


昔、銀月狼によって滅ぼされて

今は居ない種族である"


きっと生き残りだと直感した。


ウルー様と同じ…




黒い吸血狼は
血を吸った相手を乗っ取ったり、
力をコピーできると言われている。




サンドルはウルーの体を乗っ取ったのだ。



アルはハッとしたー…




ツキさんが、危ない?

ウルー様にツキさんは
手を出せないだからー…






ツキさんを守らないと…!




アルは走り出した。


ツキさんは思い出したでしょうか?

ミリシアに酒を進められた時の
ウルー様のその後ー…




そう、ウルー様はお酒に
弱い体質だと言うことを!



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