神様修行はじめます! 其の二
聞いたのかな? 当主さんに。

梅干おにぎりの話を。


あたしが大泣きした事も、聞いたんだろうか。

それでわざわざ用意してくれたんだろうか。


「玉子焼きも作ると、本人は大張り切りでございましたが・・・」

「?」


「非常事態になるのが目に見えておりましたので、事前に阻止いたしました」

「非常・・・」


「おにぎりも、大丈夫のはずでございます。食べられる物しか使用しておりませんので、食べられます」


・・・・・。


永世おばあ様といい、お岩さんといい。

いいトコのお嬢様って・・・。


あたしはお岩さんの方を見た。


こっちを気にしていたらしいお岩さんと、視線がバッチリ合った。


お岩さんは、慌ててプィッと横を向いてしまった。


『ジュエル様は、あれで案外お優しい方なのです』


セバスチャンさんの言葉を思い出す。

あたしはお弁当を眺めた。


おにぎりと、紅茶ねぇ・・・。

変わった組み合わせだなぁ。


ふふっと、つい、笑い声がもれた。

そんなあたしを見て、セバスチャンさんも笑った。

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