神様修行はじめます! 其の二
あたしは腰を上げ、お握りを持った手を突き上げて叫んだ。

「えい、えい、お―――っ!!」

「いいから座って食べたまえ」

盛り上がるあたしに、水を差す門川君の冷静なひと言。


「食事時に騒々しすぎるんだよ、君は」

「・・・・・はい」


あたしは、しおしおと座った。

ほんと、すっかり元通りになったね門川君。

豚汁も冷めそうな冷静さだよ。


「平常心が一番だが、君の場合は平常時でそれだからな」

「それって何よ。何が言いたいのっ?」

「その爆発的なムラッ気を、なんとかしてくれと言ってるんだよ」

「ムラッ気なんて無いもんっ」

「ある。純然とある。その無意味なエネルギー消費をぜひ抑制して欲しいものだ」

「無意味ってなによ無意味って!」


んも―――っ! ほんと完璧に元通り!

形状記憶合金みたい!

冷たさといい、血の通ってなさそうな表情といい!


少しは進歩とか変化とか、ないわけ?

さっきのお互い抱きしめ合って誓ったひとときは、なんだったのよ。

あほらしい。ひょっとして、あれって幻覚だったのかしら。


「誓い、やぶっちゃおっかなー」

豚汁をすすりながら、つい、ボソっと小声でささやいた。
< 447 / 654 >

この作品をシェア

pagetop