神様修行はじめます! 其の二
絹糸は、くるんと丸まって。

しま子は、大胆に大の字で寝ている。

門川君は、壁にもたれて正座をし、腕組みしながら目を閉じていた。


あたしはその隣で、壁にもたれて両足を伸ばして休んだ。

・・・眠れなかった。


闇の中、静かな空間。

ロウソクの明かりひとつ無い、静寂。

ゆったりと、でも確実に時は過ぎている。

決戦の時刻へと。


門川君の呼吸が聞こえる。

規則正しい呼吸の音。

彼が息をしてる。それは生きてる証。

たまらなく、その音が愛しかった。


あたしは、数えるようにその呼吸の音をただ聞いていた。


「・・・眠れないのか?」

彼が目を閉じたまま、小声で話しかけてきた。


「うん」

「無理もないが、少しでも休んだほうがいい」

「門川君は?」

「僕は大丈夫だ。気力も精神力も充実している」

「じゃあ、あたしも大丈夫」

「いいから休め」

「大丈夫。だからひとりで背負わないで」

「・・・・・」
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