神様修行はじめます! 其の二
それはつまり・・・

「つまり、相手も体勢を整える時間が充分ではなかった、ということですのね?」

「さようでございます。ジュエル様」


こっちが抱き込んだ全員を、寝返らせるだけの時間は無かったって事か・・・。


「元々、奥方に対して反発していた者達ですので」

「寝返らせるのはそう簡単ではあるまいの」

「分かりましたわ。では参りましょう」


お岩さんが前に進む。

当主さんもセバスチャンさんも前に進んだ。


「アマンダ、心配ありませんわ」

「お岩さん・・・」

「セバスチャンが大丈夫だと言ったなら、それは絶対に大丈夫なんですもの」


お岩さんが微笑む。

セバスチャンさんが、深々と頭を下げた。


「永久様、わたくしが先に参ります」

「岩さん」

「大将を一番先に戦場へ立たせるわけには、いきませんわ」

「待って! お岩さん!」


あたしは叫んだ。

ハシゴに手をかけたお岩さんの動きが止まる。


「あたしが先に行く」


その役目は、あたしの役目だ。

彼の盾となるのは、このあたし。

あたしの成すべき役割だ。

譲るわけにはいかないよ。
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