神様修行はじめます! 其の二
「息を吸うなと忠告したのに! 君は本気でバカなのか!?」

ゼエゼエと白目をむいた状態で呼吸しているあたしを、門川君が罵倒する。

だ、だってだって、門川君が危ないと思って夢中で・・・。

つい叫んじゃったのよっ。


「叫ぶためには、その前にひと呼吸が必要なのよ!」

「だから、別に叫ばなくてもいいんだよ! 叫ばなくても!」

「叫ぶわよ!『あら彼が死ぬわ~』って黙って見てられるわけないでしょ!」

「黙って見てる必要はないが、せめて叫ぶ以外の手段を考えてくれ!」


そ・・・!

それは、確かにそうかも・・・。


思わず反省したあたしの背中をさすりながら、門川君が口の中で素早く何かを詠唱した。

白い輝きと、清涼な気配があたしの体内に入り込む。


腐った内臓を治療してくれてるんだ。

増す一方だった激痛が、少し治まった気がする。


「応急処置しかできないが、いま処置をしないと君は助からない」

彼はそう言って、真剣な表情で治療を続ける。

ありがたいけれど、でも今はそんな事をしてる時間は・・・。


あたしは、お兄さんの様子を伺った。

お兄さんは・・・なんだかおかしな様子だった。


左右に何度も小首をかしげ、不審な態度をとっている。

ミイラ化した顔からは、彼の感情は読み取れないけれど・・・

なんだか、何かが引っ掛かっているような。

大切な何かを探し出そうとしているような。

そんな風に見えるのは気のせいだろうか?
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