神様修行はじめます! 其の二

しあわせ・・・・。


「幸せだったと? あのふたりがか?」

「はい」

「理解に苦しむのぉ。とてもそうは思えぬ」

「それでもふたりは幸せだったのです」

「ほう? なにが幸せなのか?」

「巡りあえたからです。生涯、ただひとりの相手に」

「・・・・・」

「あのふたりは幸せだったのです」



今の僕には理解できます。

生涯、共に居たいと思える存在がどれほどのものか。

それを得る事が、どれほどのことか。


あのふたりは紛れも無く、お互いがそう思い合っていた。


「あのふたりは出会えた瞬間、無意識に悟ったはずです。この世に生まれてきて良かったと」


人の世は、ままならぬ。

結果このような最期を迎えました。

それでもふたりは最期まで、生涯ただひとりの存在だった。


秋風は、兄上の優しく崇高な精神を守りきった。

兄上は僕の苦悩を救ってくれた。

そう・・・

『きっと守ってみせる』といった約束を、兄上は見事に果たして下さったのです。


そしてふたり、固く手を携えて共に逝った。

成したというなら、これ以上の成し得る事は無いでしょう。


僕は、あのふたりがこの世に生まれた事を感謝しています。


「それが僕の答えです。母上」

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