幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
「………髪、伸びたな」

そっと小野寺の髪を撫でる土方。


初めて会った頃は肩につかない位の長さだったが、今では胸くらいある艶やかで絹のような漆黒の髪。


「……まあ、切っていないからな」

思わず目を逸らす。



「……別に、長くても短くてもお前には関係ねえか。元が元だからな」


「け ん か う っ て る の か て め え」



相変わらずこんな感じだが。




少ししゅんとなったように、小野寺は下を見る。



(土方や沖田より短いのが、嫌だっただけなのに…)




まだまだ西洋文化が完全には染み渡らない江戸の町。


こうもり傘など、ちらちらと見ることはあっても、まだ男性でも髪を伸ばしている人物がほとんどだった。


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