幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
「あぁ…おのでらん」


逆光でよく顔が見えない。
だがこの透き通るような声は、確実に沖田総司本人の声だった。


「ありがとう。来てくれたんだね」

そう言って微笑みを浮かべる顔は、青白かった。



「おのでらん、長州藩に捕まったって聞いてたけど…何にもなさそうで良かった」



思わず、唾液を飲んでしまった。
喉でゴクリと音が鳴る。



「…僕は、大したことない」

「そっか」





お願いだから。

笑わないで欲しい。




「……沖田…」



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