幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
共に戦おう。
その言葉が、小野寺の背中を押す。



「もう一人じゃないんだ、小野寺ちゃん」

斎藤の隣で永倉が笑った。



「俺たちがいる。それを忘れないで」








風が吹いた。

ふわりと、小野寺姫の長い髪が揺れる。




「………………ありがとう」






そう言って笑う少女――否、女性は、

凜としていて、美しくて、格好良くて、可愛くて。


初めて会ったときよりも、何倍も輝いて見えた。










「一人でも多くの命を救おう」
小野寺が言葉を紡ぐ。





「必ず、誰も死なずに」







「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオっ!!!!」



隊士たちの歓声が上がる。







(……乃愛)

小野寺は、空を見上げた。
それは曇っていて、不気味な空。



(君の他にも大好きな人ができました)



だから、




















「ごめんね」
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