WHITEMOON~あやかしの神様~
「・・・俺以外の殿方にもそのような言の葉を囁き、お前は殿方の心を惑わすのか?」



「私は知貴様以外の殿方にそのような言の葉は申しません…信じてください…」


桜の君は瞳に涙を潤ませる。



「すまない。戯言だ…流せ…」


「ひどいお方…私を独り…京に捨て置き…戻ってきたと思えば…私を責めるなんて・・・」



「そのようなひどい男だと本当に想うなら、いっそう、忘れてしまえ」


「それはできません…」


「愚かな女だ・・・」



俺は桜の君を抱き締めて、背丈よりも長い黒髪を撫で下ろす。



俺は死ぬまでお前を忘れなかった。










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