WHITEMOON~あやかしの神様~
満開の枝垂れ桜を眺めながら、桜の君と夢のような逢瀬をした。



彼女の躰から放たれる香の匂いと艶めいた声が俺に現だと思わせる。



多分、これは夢ーーー・・・



目の前の桜の君は康人が見せたうたかたの人。



でも、花奏に餓えた俺は貪欲に、桜の君を求めた。



「愛してる…花奏…」



「花奏?それは誰ですか?」


嫉妬めいた瞳で桜の君が俺を見つめる。


「来世のお前の名前だ…俺たちは来世も出会い…恋に落ちるのだ…憶えておけよ…」


俺は桜の君の首筋に唇の痕を残した。


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