幸せになろう
もし、イザベラ幹部がその場に居合わせていたら、そんな計画すぐにやめさせていただろう。
あの会議のとき、イザベラ幹部は独り自室にこもってマイナスエネルギーについて調べていた。
誰も殺さず、マイナスエネルギーのみを浄化消滅させる方法を調べていたんだ。
 そんな時だった。
お前に対する殺害命令が出たと聞いたイザベラ幹部は、急いで人間界へ飛んで、それを阻止した。
だから、イザベラ幹部は悪くない」
「そんな話誰が信じるか! だいたいお前は、俺を殺そうとした張本人じゃないか。
お前の言うことなんか信用出来ん」
慎一は、その場から走り去ろうとした。
「待て、まだ話は終わってないぞ。
お前を殺さずに、マイナスエネルギーを浄化させる方法が一つだけある」
「何だって?」
慎一は立ち止り、ジェシーの方を振り返る。
「まず、お前自身がマイナスエネルギーの浄化を強く願うことだ。
そして我々を心から受け入れることだ。
そうすれば、マイナスエネルギーは、完全に消滅する。
これは、イザベラ幹部が、調べてくれたんだ」
「もういい。そんな話は聞きたくない」
「待て慎一、イザベラ幹部は立派な方だ。あの方は信用出来る。
マイナスエネルギーの事をよく調べもせずにお前を抹殺しようとした、不勉強な役人幹部達とは
違う」
ジェシーはイザべラ幹部と他の幹部との違いを強調。
「だったら、なぜ最初からエレガンス幹部に従わなかった?」
「一部の幹部達がイエレガンス幹部より先にお前を殺せと命令した。
私は反対したが、幹部達に押し切られてしまった。幹部の命令は絶対なんだ。
他の幹部が異議を申し立てなければ、その命令は通ってしまうんだ」
「それなら、てめーもその幹部達と同じだ。もうその話はいい」
「おい慎一、どこへ行く?」
慎一は、ジェシーの呼び止めも聞かず、そのまま行ってしまった。
 
 夕方、慎一は川下の自分が発見された場所まで来ていた。
「確か俺は、ここで発見されたんだよな。
あの時、助からなければこんな事にならなかったのに」
慎一は、自分が助かった幸運を恨む。なんという皮肉だろう。
「あっ、もしかして慎一さんじゃない?」
朝倉夕菜が慎一に気づいて、背後から声をかけてきた。
「今、学校帰り?」
「うん」
ふたりで川の土手に座りながら、しばらく話した。
天上界とのトラブルを打ち明ける慎一。
「そう、そんな事があったの」

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