幸せになろう
夕菜は、驚くほどあっさりと慎一の話を信じた。
疑ったり、軽蔑することもなく、ありのままの現実を全て受け入れたのだ。
「え? 俺のこんな話信じてくれるの? 天使だとか、マイナスエネルギーだとか」
「だって、慎一さんが、嘘でこんな話をするとは思えない。
エレーナさんって人間じゃなかったんだね。初めて会った時から不思議な感じがした。
何かこう神秘的というか」
さらにこんな事まで言った。
「私だったら、もし攻撃を受けても本当に好きな人は、体をはってでも守る」
確かにエレーナもジェシー達に抵抗はした。
だが、そこまではしなかった。天上界の一員という立場もあるのだろうか。
「マイナスエネルギーについては、よく分からないけど、
私、巻き込まれてもいいような気がする。
どうせみんな死ぬんだったら、好きな人と一緒のほうがいい。
慎一さんのマイナスエネルギーにだったら、私、巻き込まれてもいい。
だって私、貴方のことが本当に好きだから」
独自の恋愛観を持つ夕菜……
夕菜は一度は身を引いた。そのつもりだった。だが慎一を募る思いは捨て切れなかった。
それどころか、マイナスエネルギーの一件でむしろその思いを強くした。

 一方天上界、イザベラ幹部が自室でジェシーからの報告を受ける。
「そう、やはり説得は無理でしたか」
「はい。慎一の天上界への不信は相当根強く、こちらの説得に全く耳を貸しませんでした。
それにあの一件以来、彼はエレーナとも全く口を利いていないようです」
「その原因は、私達にあります。
慎一を説得し続けるのは、相当困難な作業でしょう。
でも、今はそれを続けるしかありません」
慎一が少しでもエレーナに心を開いてくれたら……
そう願うイザべラ幹部。今は、エレーナが唯一の頼みの綱だ。 
 

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