夏の月夜と狐のいろ。
「闇猫族というのは、さっきそこの君が言ったように猫の部族だ。
同じようなもの、というのはつまりそういうことだ」
そう言うとレオンはその場でくるりと回って次の瞬間にはその姿を猫に変えていた。
シアンは驚いて目を見開いた。
さっきまでの中性的で華奢な青年はそこにおらず、かわりに薄茶色のとらねこがそこにいる。
琥珀色の瞳がきらりと光った。
『これが、私の猫の姿だ。われわれの種族は皆、琥珀色の瞳をもつ。例外なく、な。
そしてその目には目が合った相手を金縛り状態にさせるという力をもつ。』
レオンはゆらゆらと尻尾をゆらしてみせた。
そしてその尻尾の影が突然ぐにゃりと歪んだ。
そして弧を描くようにそれはシアンの足元に迫る。
驚いてシアンの尻尾がびりびりと逆立った。
なにが起こってるの・・・!?
シアンが後ろに飛びのこうとした瞬間、それはぴたりとすぐ傍で止まった。
『ふふ、怯えなくていい。これも私たち種族の能力だ。
からかってすまない』
そういってレオンが再び尻尾をゆらすと、影はするすると小さくなりもとの尻尾の影に戻った。