夏の月夜と狐のいろ。
クロSide
クロはシアンたちと別れて一人町の中を歩いていた。
いらいらとした気分が、町の人間たちを見ることによって余計に増す。
クロは、苛立っていた。
なんだってシアンやあの黒狐は人間を認めて仲良くしているんだ?
お前たちも人間にすべてを壊されたくせに。
クロはノエルと馴れ合っているシアンたちに腹が立って、むかむかした。
人間にいい奴など、いない。なぜそれがわからない?
頭の中をめぐる感情とともにどす黒い感情がどろどろと胸の中を満たす。
もしかしてあいつも人間の仲間なのか?いや、違うはずだ―・・・
そんな葛藤がぐるぐる頭をめぐり、気持ちが悪くなった。
息があがって、苦しくなっていた。
「・・・?」
そして、気がつくといらいらして進みすぎたのか、薄暗い路地裏にいた。
乱れた呼吸をととのえながらくらくらした頭を抑えて俯こうとしたとき、ちらっと視界に光る目が見えた。
はっとして前を向くと、赤い瞳の小さな少女がこっちをみつめていた。
見た目的に10歳くらいだ。
淡い色のローブをかぶり、少女は薄く笑っていた。