夏の月夜と狐のいろ。
「こんにちは。はじめまして。」
少女はそういいながらローブのフードを脱いだ。
薄紫色の髪が、たらりと横にたれた。
顔の横の髪だけが長く、後ろは短いというかわったヘアースタイルをしている。
「・・・お前は誰だ?」
クロは一歩後ろに下がってじろりと少女をにらみつけた。
少女は少し小首を傾げてゆっくりとこちらと目をあわせた。
赤い、おおきな瞳がこっちをじっと見つめて、笑みの形に変わる。
そして頬にうろこのようなものが現れた。
「人間じゃない、私は。人間が憎い、人ならざるもの。
ねぇ、あなたは人間と仲良くするヤツを許せる?」
少女がさっきまで自分が考えていたことを言ったので、クロは驚いて目を見張る。
なんだ、こいつは?
そうお思いながらも、クロは自分のどす黒い胸の何かに任せるように答えた。
「もちろん、許せない。」
すると少女は嬉しそうに笑った。
紫色の髪がふわふわ揺れて、赤い瞳が光った。
「ふふ、そうよね。ねぇ、あなたが一緒にいる魔術師のたまごは、悪者よ。
狐も、猫も、みーんな操られてるの。ね、助けてあげなきゃ」
・・・それはノエルのことだろう。
やっぱりあいつは―・・・
「ね、私が力を貸してあげる。あいつを消さないと」