夏の月夜と狐のいろ。
シアンSide
ノエルを取り囲んだ人間たちは、ノエルの腕を無理やりひく。
「はやくきてくださいノエルさん・・・抵抗はやめてください」
ノエルがそれに抵抗するようにその腕をはらい、ぎろりと教会の魔術師たちをにらみつけた。
「離せ、俺は行かない。」
ノエルはじりじりと下がり、魔術本をとりだそうとかばんに手をかけた。
けれど、それよりも早く魔術師たちがその手を払い、本を取り上げられる。
「・・・っ!!」
ノエルは教会の人間を再び睨みつけるが、抵抗する術がないのはあきらかだった。
ノエルはずるずると人間たちに腕をつかまれ、連れて行かれる。
「ノエ・・・」
シアンはノエルのあとを追おうと、足を踏み出す。
けれど、口をふさがれてレオンに止められてしまった。
その間にもノエルとの距離は離れていく。
ノエルを助けないと!ノエルが連れていかれちゃう!
ノエルは恩人で、大切な人だ。
シアンはばたばたともがいたが、レオンにしっかり腕をつかまれ、動けない。
そうしているうちにもノエルは連れ去られ、シアンの視界からノエルたちは消えた。
ノエルたちが見えなくなると、ようやくレオンのシアンを拘束していた力がゆるみ、自由になった。
「なんで止めたの!?」
シアンはレオンのことを思い切り睨みつけ、九尾の尾を一本、レオンの首下にすえた。
―レオンは敵だったの!?