夏の月夜と狐のいろ。
「・・・落ち着け」
レオンはゆっくりと後ろに下がり、ため息をついた。
・・・何のつもりだろう?
シアンは尻尾をローブの下に戻し、一歩下がる。
レオンは再びシアンの傍によると、小さな声で耳打ちした。
「ノエルは大丈夫だ。わざと捕まったんだ。そのほうが教会の情報を得やすいだろう?」
シアンは驚いてレオンをみつめた。
琥珀色の瞳に、嘘の色は浮かんでいない。
どうやら本当のことらしくシアンは納得すると頷き、ぺこりと頭を下げた。
何も悪くないのに、刃をむけてしまったのだから当たり前だ。
『シアン様は悪くないですよ。ノエルさんが心配だっただけなんですから!』
教会の人間たちが去って、安心したのかリリィがフードの奥から出てきてシアンの頬に顔をすりよせた。
「うん、ごめんね」
リリィを撫でながらレオンをみると、レオンも薄く微笑んだ。
「誰にでも間違いや大切なものはあるものだ。私は大丈夫だから気にするな。」