夏の月夜と狐のいろ。
シアンは少しまくれてしまったローブを直すと、教会のほうを向いた。
「ねぇ、このあとどうするの?」
シアンが訊くと、レオンはふむ、と唸った。
「とりあえず教会へ偵察に行こう。お前たちは教会の傍で控えていてくれ。
私が中へ偵察に行こう。お前たちじゃ目立つだろう?」
レオンも目立つじゃない、といおうとしてはっと気づいた。
レオンは猫なのだ。
レオンはその場で猫に化けると、茶色い縞模様のしっぽを揺らした。
『猫などどこにでもいる。目立ちはしないだろう。
シアン達みたいな狐じゃ目立つ』
シアンはこくりと頷く。
レオンはしっぽを合図代わりにさっとふると、教会のほうへ歩き出した。
レオンを怪しがる人間は、誰もいない。
シアンとリリィはほっとして顔を見合わせた。
そしてこっそりとそのあとをつけて教会のそばの路地裏に隠れた。
安心したのもつかの間、レオンの茶トラの姿が教会に消えたのを見送ったとほぼ同時くらいに後ろでカタンと、音がなった。
「・・・!?」
薄暗くて見えないが、そこに誰かが居た。