夏の月夜と狐のいろ。
・・・そうよね、今はノエルを助けないと。
シアンは余計な考えを頭をふってふりはらうと前をみつめた。
リリィが心配そうにこちらを見上げてきたので薄く微笑んでおいた。
『さて、どうする・・・。これ以上近づくとヤツに見つかってしまうな・・・』
苦悩にみちた琥珀色の表情がゆれる。
『ヤツってどんな奴なんですか?』
リリィがシアンがまさに今ちょうど浮かべていた疑問をのべると、レオンはのどの奥で唸りながらしっぽをふった。
ゆら、ゆら、と茶色いしっぽが悩むようにゆれて、ぴたりと止まった。
『うむ。顔はフードをかぶっていてよくわからなかったが・・・
とにかくどんなに私が離れても的確に追いかけてくるし、先回りされるのだ。
ここの場所もすぐバレる。』
シアンはぞくっとした。
それってまるで私の千里眼みたい・・・
リリィも同じことを思ったらしく、こちらをみて不安げに尻尾をゆらした。
『まるでシアン様の千里眼の・・・いや、それよりももっと高度な・・・』
リリィが呟いたちょうどそのとき、上から声が降ってきた。
「そう。千里眼よ。でもあなたのものとは比べ物にならない」