夏の月夜と狐のいろ。
そいつは確かに、九尾の尻尾を持っていた。
そして、その瞬間にはずれたフードからのぞく顔。
「なん・・・で・・・!?」
そこに居たのは、研究室においてきたクローンだった。
そいつはシアンと同じ顔でふふっと楽しげに笑う。
けれどその瞳はシアンと違って赤い。
濃厚な赤い閃光がきらりと怪しげに笑みの形を浮かべた。
「私につけられた名前はモナミ。あなたとは別の色。あなたよりもずっとずっと強い色よ」
モナミはにやりと笑って尻尾であたりをなぎ払った。
銀色のそれはシアンと同じものだ。
「どうだ、気味が悪いだろう?」
横から嘲笑するようにクロが笑った。
・・・気持ち悪い。怖い。
シアンは素直に頷いた。
「同じなんて・・・」
シアンがそう言うとモナミが馬鹿にしたようにしっぽを振るった。
「同じなんて失礼ね。私はあなたより上よ。」
シアンはモナミの言ったことがわからずに何も答えなかった。
するとモナミはいらいらしたように尻尾をぐるぐる振り、ため息をつく。
そしてにやりと勝ち誇ったように微笑んだ。
「私はあんたとは違って、触れたことのあるもの以外にも千里眼が使えるわ。」
シアンは驚いて目を見開いた。
そんな、と傍でリリィが目をまんまるくしている。
シアンが使える千里眼は強くない。
触れたことのあるものを媒介にしてしか見ることはできないのだ。