夏の月夜と狐のいろ。
「僕についてこい」
クロはさっと路地裏の裏に消えるとすたすたと歩いて行った。
シアンたちは慌てて獣のものである耳を懸命に動かし、クロ足音を追う。
クロは路地裏から抜け道に入り、薄暗い道を進んでいく。
しばらく歩くと、ぴたりとクロが動きを止めて後ろに下がった。
そこには、小さな扉があった。
「…ここ?」
シアンがきくと、クロはこくりと頷く。
確かに、それは教会のものだ。
路地裏をくねくねと進むうち、いつのまにか教会の裏口に来たらしく、目の前にあるそれは教会のものであるつくりだ。
シアンはゆっくりと前に出て、ローブを被ろうとした。
けれど。
「人間は中にはいない。よく聞こえるように出しておいたほうがいいんじゃないのか?」
クロはしれっとそう言った。
確かにそうかもしれない。
シアンは頷くとその手を止め、フードを被るのをやめた。
それを無表情にクロが見つめる。
レオンもそれに習って耳を隠そうとしてはいない。
誰もがクロ信用してゆっくりと扉に手をかけた。
けれど扉をゆっくりと開いた瞬間、シアンたちは固まることになった。