夏の月夜と狐のいろ。
「っ…」
シアンは目を覚ました。
研究室は未だ薄暗くて、あまり状況がわからない。
頬に、涙が伝っていた。
シアンは拘束されているせいもあり、涙をぬぐうこともせずにぼぅっとしていた。
夢のなかで、言おうとしていたこと。
"人間のことが嫌い………?"
いいかけて、シアンははっとした。
…本当に?
森にいたころの人間への憧れとー…
ノエルの笑顔を思い出した。
あれからノエルには会っていなかった。
森で最後にみた、悲しそうな目の少年。
意識を失う瞬間に見た少年。
目がかすんでよく見えなかったが、きっとあれはノエルだった。
大好きな、人間のノエルだった。