夏の月夜と狐のいろ。



「っ…」


シアンは目を覚ました。

研究室は未だ薄暗くて、あまり状況がわからない。

頬に、涙が伝っていた。


シアンは拘束されているせいもあり、涙をぬぐうこともせずにぼぅっとしていた。


夢のなかで、言おうとしていたこと。


"人間のことが嫌い………?"


いいかけて、シアンははっとした。


…本当に?


森にいたころの人間への憧れとー…
ノエルの笑顔を思い出した。


あれからノエルには会っていなかった。

森で最後にみた、悲しそうな目の少年。

意識を失う瞬間に見た少年。


目がかすんでよく見えなかったが、きっとあれはノエルだった。

大好きな、人間のノエルだった。

< 77 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop